本棚屋では、「横接ぎ集成材は無垢材の欠点を補う無垢材の一つ」と考えています。そしてこのサイトの製品説明の中では製品素材について「無垢材」という言葉を頻繁に使用しています。以下に、この点につきましての趣旨を簡単にご説明いたします。
「無垢」という言葉には、例えば、「純粋無垢」や「白無垢」、「金無垢」といったが使い方があるように、「けがれのない」「まじりもののない」といった意味があります。木材での「無垢材」とは、はっきりした定義はないと思いますが、本来は接着等されていない無垢の一枚板や角材を指すものだと思います。そして特に、銘木と呼ばれる高価で貴重な一枚板や、品質や部位にこだわりを持った素材を扱う場合に、こだわりの気持ちも込めて使うことが多いようです。
一方、現実のこととして、例えば奥行(幅)が30cmを超える無垢の一枚板を北欧産のパイン材で取ることは、実は容易なことではありません。冬の寒さの厳しい北欧では、パインの生育が遅く、家具材として用いられる樹齢70~80年の赤松の丸太の直径は30~40cmほどしかないからです。
また、仮にそのような幅広の板が手に入ったとしても、それを棚板材として使う事も容易ではありません。幅広の一枚板は、反りや割れが生じやすく、取り扱いが難しからです。
そこで、小割りした板材を幅方向に接着した集成材がその役割を担うことになります。奥行のある棚板やテーブル用天板など、板材における集成材の役割は、現代の家具作りにはなくてはならないものになっています。
例えば、食卓テーブルなどに使われているテーブル天板で、天然木と表示されているものの殆どが一枚板ではなく、複数枚の板材を接ぎ合わせた集成材でできています。横接ぎされているそれぞれの無垢板の幅は様々で、幅が広いほど無垢板に近くはなりますが、一枚板にはなり得ません。
少しかたい説明になりますが、日本農林規格(JAS)によると、集成材の定義は「ひき板、小角材等をその繊維方向を互いにほぼ平行にして、厚さ、幅及び長さの方向に集成接着した一般材」となっています。
下にその定義に従って製造されている集成材の例をいくつか表示していますのでご覧下さい。
一口に集成材といっても、特に建築業界では実に様々な製品があり、かなり広範囲な製品まで含まれます。例えば、表面に化粧ばりが施されたものや、異なる樹種を貼り合わせたものも集成材として分類され、多種多用な建材が市場に出回っています。そこには、集成材が無垢材とは明らかに異なる要素を見る事ができます。
一方、家具の分野では、集成材といえば、上図上段にあるような、ひき板(無垢材)を幅方向に接着しただけの幅接ぎ(横接ぎ)集成材か、短いひき板をまず縦継ぎ(フィンガージョイント)してから横(幅)接ぎしたものが主流となっています。
これらの素材は、無垢材と同様に、例えば彫刻刀などで表面を削っても、内部まで同種樹の材です。表面だけ別の素材が張られていたり、中が空洞だったりすることはありません。木目模様が継ぎ目で途切れるという見た目の違いはありますが、使用感は無垢材と変わりません。
これらの点から、木製の家具素材については、木のチップや繊維末を接着剤で固めたパーティクルボードやMDF(中密度木質繊維板)、中空のフラッシュボード等の表面に突き板やプリント紙を張った、いわゆる「張りもの素材」と区別するために、表面を削っても内部まで同じ素材である集成材は、「無垢材の欠点を補う無垢材の一つ」としてとらえられることが多くなっています。
ちなみに、本棚屋では、集成材の中でも最も接着剤の使用量が少ない幅接ぎ(横接ぎ)集成材を使っています。無垢のひき板材を縦(長さ)方向に継ぐことなく、横(幅)方向にだけ接着した板材です。
これらが、本棚屋において、製品に使用している「横接ぎ集成材」は「無垢材」として説明させて頂いている理由です。このことにつきまして、予めご理解を頂きますとともに、ご質問やご意見等ございましたら、お気軽にお知らせ頂ければ幸いです。
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